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デルタプリンターとは?

デルタプリンター』(でるたぷりんたー、Delta Printer、仏語表記:Imprimante Delta)とは、3Dプリントにおける一種のプリンター設計で、三角形(デルタ)配置のアームを使用してプリントヘッドを動かす機構を特徴とします。デルタプリンターは、そのユニークな構造により、軽量で高速なプリントが可能であり、特に高さ方向に優れたパフォーマンスを発揮します。

デルタプリンターの歴史と由来

デルタプリンターの概念は、もともと産業ロボットの一種である「デルタロボット」に由来しています。デルタロボットは、1980年代にスイスのエンジニア、レイモンド・クラベルによって開発されました。このロボットは、三角形の構造を利用して高速かつ高精度な動作を可能にするもので、食品や医療分野で広く使用されています。

3Dプリントの分野でのデルタプリンターは、クラベルのデルタロボットの動作原理を応用したものであり、2000年代後半に登場しました。最初期のデルタプリンターは、オープンソースプロジェクトとして開発され、DIYエンスージアストの間で急速に普及しました。従来のカートジアン方式(直交座標方式)の3Dプリンターとは異なり、デルタプリンターは三角形に配置されたアームが協調して動くことで、プリントヘッドの位置を制御します。

デルタプリンターの構造と動作原理

デルタプリンターは、三角形(デルタ)配置の3本の垂直アームによって支えられています。各アームは独立して上下に動くことができ、3本のアームが連動することで、プリントヘッドをXYZ軸に沿って自由に移動させます。この動作は、カートジアン方式とは異なり、プリントヘッドの移動が滑らかで高速に行えるため、複雑な形状のプリントや高速な作業が得意です。

デルタプリンターは、その構造上、特に高さ方向に優れた性能を持ちます。これは、従来のプリンターでは難しい、細長いオブジェクトや高い精度を求められるパーツの製作に適しています。また、デルタプリンターは軽量なプリントヘッドを使用するため、振動が少なく、精度の高いプリントが可能です。これにより、造形物の表面が滑らかで、美しい仕上がりになります。

デルタプリンターの現在の使われ方と応用

現在、デルタプリンターは、プロフェッショナルな用途からホビー用途まで幅広く使用されています。特に、精密な部品の製作や、複雑な幾何学形状のオブジェクトのプリントにおいて、その性能が発揮されています。デルタプリンターは、高速かつ高精度なプリントが要求される分野で重宝されており、教育機関や研究機関でも導入されています。

また、デルタプリンターはDIY愛好家の間でも人気が高く、多くのオープンソースのプロジェクトが存在します。これにより、ユーザーは自分の手でデルタプリンターを組み立てたり、カスタマイズしたりすることが可能です。これらのプロジェクトは、3Dプリント技術の普及と発展に貢献しています。

さらに、デルタプリンターは、従来の3Dプリンターに比べて省スペースである点も魅力です。縦方向に空間を有効活用できるため、設置場所の制約が少なく、小型のワークスペースでも導入しやすい特徴があります。

今後、デルタプリンターは、さらなる技術革新により、より高速で精密なプリントが可能になると期待されています。また、材料の多様化や新たな用途の開発に伴い、デルタプリンターの応用範囲はますます広がることでしょう。



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