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ダイレクトドライブとは?

ダイレクトドライブ』(だいれくとどらいぶ、Direct Drive、Entraînement Direct)とは、3Dプリンターのフィラメント供給システムにおいて、エクストルーダーがプリントヘッドの直近に設置され、フィラメントを直接押し出す方式を指します。これにより、フィラメントの制御がより精密になり、特に柔軟なフィラメントや高精度なプリントが求められる場合に優れた性能を発揮します。

ダイレクトドライブの歴史と由来

ダイレクトドライブ方式は、3Dプリンターの初期段階から存在していたフィラメント供給方法の一つです。FDM(溶融積層方式)プリンターの登場とともに、フィラメントをエクストルーダーで押し出す技術が必要とされましたが、初期のプリンターではフィラメントが長い距離を移動することで摩擦や遅延が生じ、精度や速度に限界がありました。

これを解決するために考案されたのが、エクストルーダーをプリントヘッドに直接取り付けるダイレクトドライブ方式です。従来の「ボーデンシステム」では、フィラメントがチューブを通じて供給されていましたが、ダイレクトドライブはこのプロセスを短縮し、フィラメントの供給と押し出しをより直接的に行うことが可能になりました。

「ダイレクトドライブ」という名称は、英語の「Direct」(直接の)と「Drive」(駆動)を組み合わせたものであり、そのまま「直接駆動」を意味します。フランス語では「Entraînement Direct」と表記されます。

ダイレクトドライブの機能と構造

ダイレクトドライブのエクストルーダーは、プリントヘッドのすぐ上、または横に設置されており、フィラメントがノズルに到達するまでの距離が非常に短くなっています。この設計により、フィラメントの制御が非常に精密になり、フィラメントの押し出し量を迅速に調整することができます。

ダイレクトドライブ方式は、特に柔軟性の高いフィラメントや、TPU(熱可塑性ポリウレタン)のように収縮しやすい素材を使用する際に優れたパフォーマンスを発揮します。フィラメントが直接エクストルーダーから押し出されるため、フィラメントの引きずりや遅延がほとんどなく、精度の高いプリントが可能です。また、フィラメントのリトラクト(引き戻し)操作が非常に効果的で、糸引きやフィラメントの漏れを防ぐことができます。

ダイレクトドライブの現在の使われ方

現在、ダイレクトドライブ方式は、家庭用や業務用の3Dプリンターで広く採用されています。特に、柔軟なフィラメントを多用する場合や、高精度なプリントが求められるプロジェクトでは、ダイレクトドライブが選ばれることが多いです。また、フィラメントの切り替えや色の変更が迅速に行える点も、この方式の大きな利点です。

ダイレクトドライブを搭載したプリンターは、ボーデンシステムと比較してプリントヘッドが重くなるため、プリント速度やプリント面積が制限されることがあります。しかし、技術の進歩により、軽量で高性能なエクストルーダーが開発され、これらの制約も徐々に解消されつつあります。例えば、CrealityやPrusaなどの主要な3Dプリンターメーカーは、ダイレクトドライブシステムを備えたモデルを提供し、ユーザーのニーズに応えています。

ダイレクトドライブの将来展望

今後、ダイレクトドライブ方式はさらに進化し、高性能な3Dプリント技術の標準となることが予想されます。エクストルーダーやプリントヘッドのさらなる軽量化が進むことで、ダイレクトドライブのデメリットであるヘッドの重さも改善され、より高速で高精度なプリントが可能になるでしょう。

また、複雑な形状や多材料プリントをサポートする技術の進展により、ダイレクトドライブの応用範囲が広がり、さまざまなフィラメントに対応できるようになると考えられます。さらに、AIや自動化技術との連携が進むことで、フィラメントの供給やプリントプロセス全体がより効率的かつスマートに管理されるようになるでしょう。

結論として、ダイレクトドライブは、3Dプリント技術の重要な要素であり、その精度と柔軟性が、さまざまな分野での応用を可能にしています。今後も、この技術の進化が3Dプリント業界全体に大きな影響を与えることでしょう。



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