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ポリカーボネートとは?

ポリカーボネート』(ぽりかーぼねーと、Polycarbonate、仏語表記:Polycarbonate)とは、3Dプリントで使用される高性能な熱可塑性プラスチックの一種で、高い耐衝撃性と耐熱性を持つ材料です。ポリカーボネートは、耐久性と透明性が求められる部品の製造に適しており、産業用途やプロトタイピングで広く使用されています。その優れた物理的特性により、3Dプリントの素材として非常に人気があります。

ポリカーボネートの歴史と由来

ポリカーボネートは、20世紀中盤に開発された合成ポリマーです。最初にポリカーボネートが商業化されたのは1950年代で、ドイツのバイエル(現在のコベストロ)とアメリカのGEプラスチックス(現在のサビック・イノベーティブプラスチックス)がその開発に関わりました。この素材は、透明でありながら非常に強靭で、ガラスの代替品として幅広く利用されています。

名前の「ポリカーボネート」は、その化学構造に由来します。「ポリ」は多数の意味を持ち、「カーボネート」は炭酸エステル基(CO3)を指します。この素材は、ビスフェノールAとホスゲンの反応によって生成され、優れた機械的特性と透明度を特徴としています。

ポリカーボネートの特性と利点

ポリカーボネートは、その優れた特性により、3Dプリントの材料として非常に魅力的です。以下は、ポリカーボネートの主な利点です:

  • 高い耐衝撃性: ポリカーボネートは、非常に高い耐衝撃性を持ち、他のプラスチックと比較しても衝撃に強いです。これにより、強度が求められる部品や、安全性が重要な用途に適しています。
  • 耐熱性: ポリカーボネートは、約120~150°Cの高温でも形状を維持できるため、高温環境下での使用に適しています。
  • 透明性: ポリカーボネートは、非常に高い透明度を持ち、ガラスの代替としても利用可能です。この特性により、光学部品や透明カバーの製作に適しています。
  • 耐久性: ポリカーボネートは耐久性に優れており、長期間にわたって使用できる部品を作成できます。

これらの特性により、ポリカーボネートは、ヘルメットのバイザー、機械部品、自動車のランプカバー、電子機器の筐体など、様々な用途で広く使用されています。

現在の使われ方と応用

3Dプリントにおいて、ポリカーボネートは主にFDM(溶融積層造形)方式で使用されます。この材料は、耐衝撃性や耐熱性が求められるプロトタイプや最終製品の製造に適しており、特に産業用途での需要が高まっています。ポリカーボネートは、他の一般的な3Dプリント材料(PLAやABS)と比べてプリント条件が厳しく、より高いプリント温度と安定したビルドプレートの加熱が必要です。しかし、その結果として得られる製品は、非常に頑丈で耐久性があります。

また、ポリカーボネートは他の素材とブレンドされることがあり、例えばポリカーボネートとABSの混合材料は、さらに高い耐衝撃性と耐熱性を提供します。これにより、さまざまな要件を満たすカスタム部品の製造が可能になります。

さらに、医療機器や航空宇宙分野では、ポリカーボネートの耐久性と生体適合性が評価されており、カスタムフィットのプロテーゼやドローンの部品など、特定の高性能アプリケーションで使用されています。自動車産業でも、軽量でありながら耐久性が求められるパーツの製造に適しており、ますます普及しています。

今後も、ポリカーボネートは3Dプリントにおける重要な材料としての地位を維持し続けるでしょう。新しい合金やブレンド材料が開発されることで、その用途はさらに広がり、より高性能で多用途な製品の製造が可能になると期待されています。



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